ものづくりニッポンの凋落が言われて久しいですが、まだまだメーカーで働いている人たちも多く、世界的に見てもメイド・イン・ジャパンブランドの効果は絶大です。
そして、世界のものづくりのレベルもどんどん向上しています。
相対的に見て、日本のメーカーは衰退しつつあるのですが、それでも世界全体の技術力が向上することはとても良いことではないでしょうか。
そんな中、まだまだ元気いっぱいのメーカーもあります。
中小企業にとって大手メーカーのオウンドメディアの例は参考になるのではないでしょうか。
今回は世界をまたにかけるメーカーのコンテンツマーケティング事例をご紹介していきます。
参考にして自分たちのコンテンツ作りに活かしましょう。
メルセデス・ベンツ、商品紹介でありながら圧倒的コンテンツ
まずはドイツの世界的車メーカー、メルセデス・ベンツのオウンドメディアを見ていきましょう。
ベンツのオウンドメディアにはひとつ特徴があります。
ほとんどのコンテンツが商品紹介にダイレクトへとつながっているところです。
これは非常に珍しいことで、あまり世の中の一般的ユーザーは、すべてのコンテンツが「売ろうとする」商売っ気の強いコンテンツをあまり好まない傾向があります。
売ろうとして頑張っているコンテンツより、あまり商売感がない方がネットでは好まれるのです。
しかし、ベンツのオウンドメディアは違います。
そもそも、コンテンツを配信する際に、ベンツほどの高品質の商品が販売されているメーカーで、内容の薄いコンテンツを投稿する必要はないのです。
コンテンツが商品紹介、試乗体験などの販売力を使ったものでも、商品力があればコンテンツとしてオウンドメディアが成立します。
中小企業でも、まずは他社と比較して圧倒的な結果を出す商品開発を行う必要があります。
今の時代、ただ下請けから商品を買ってきてネットに流すだけ売れるような商品はほぼありません。
そんな商品があれば、あっという間に競合に真似されてしまい、ビジネスが立ち行かなくなるか、価格競争に追いやられてしまうでしょう。
大切なのは商品力です。
Webの時代では、いかに自分たちの商品をうまく作るか、企画力があるかが先行します。
とはいえ、SEOにできないこともありません。
SEOでは圧倒的な物量が大切なので、多くのコンテンツを投下することで、より検索に強くなり最短で検索上位に上げることができます。
ベンツの場合は、ブランド名が浸透しているので、今更それほど検索に拘る必要はないのですが、それでもオウンドメディアを行っていく上で、かなり多くのコンテンツを投稿していることがサイトからわかると思います。
ベンツのオウンドメディアは商品プロモーションばかりですが、下手に遊びのコンテンツを入れるよりも、真面目さ、かたさが際立ってオウンドメディアのブランディングに役立ちます。
オウンドメディアはあまりにゆるすぎるコンテンツばかりでもブランドイメージが崩れてしまいます。
メーカーの場合は特に、真面目さ、かたさ、品質の確かさを打ち出していく必要があるでしょう。
コカコーラのオウンドメディアは旅するコーラ
http://www.cocacola.co.jp/stories
コカコーラのオウンドメディアも見ていきましょう。
コカコーラのオウンドメディアは、「コカコーラ ジャーニー」と題して、旅をテーマに世界中をコカコーラが駆け巡ります。
たとえば、米国のワークライフバランスや世界基準で人脈を作る方法など、感度の高いテーマがたくさんあります。
感性が鋭い人をテーマにしており、コカコーラのイメージである洗練された高感度な若者、を見事にターゲットとしたコンテンツです。
ここで重要なことは、コカコーラはそれほど体に良い飲み物ではないということです。
世界的な認知があるものの、ブランド力はイメージから作られています。
ヘルシーなわけではなく、むしろあまり子供には虫歯になるので飲ませたくない、そんな親が日本には多いコカコーラですが、オウンドメディアを見ればわかるように、明確にペルソナを設定しています。
オウンドメディアを見れば一目瞭然、若い人がターゲットです。
老舗メーカーのため、昔飲んでいた人が年をとってもまだ飲んでいる、ということはあるのですが、炭酸飲料という性質上、若い人が飲むものです。
そのため、オウンドメディアも比較的年齢層が若めです。
とはいえ、中高生向けではないので、華やかなソーシャルネットに映えるようなコンテンツではなく、コカコーラの対象である少し落ち着いた若者をイメージしています。
オウンドメディアからは明確に読み取れるのが、おそらく新卒社会人、いわゆるフレッシャーズ、そして就職活動を控えている大学生などがターゲットであることがわかります。
こうして、自社の製品がどの層に受けているのか、そしてターゲットは誰なのかを確認していくことが大切です。
それに見合ったペルソナを設定し、発信していくことが大切です。ここがぼやけているオウンドメディアは失敗事例として多く散見されます。
自社の真の顧客がどの層なのか、しっかりと見極めていく必要があるでしょう。
ビジネスにおいて、ターゲティングは非常に有効です。
コカコーラ社の場合も、旅するコーラと題して、世界中のさまざまなビジネスに関する情報を、固くなく、ポップにお伝えしています。
大和ハウス工業の家!住宅に関することを集めたオウンドメディア
http://www.daiwahouse.co.jp/column/
大和ハウス工業では、「TRY 家コラム」と題して、家に関するさまざまなことを集めたオウンドメディアを展開しています。
フローリングをきれいに保つ方法や、住宅設計のプロであるハウジングマイスターの紹介から、さらには夫婦共働きの家事意識調査まで、さまざまなことがコンテンツとして配信されています。
昨今では共働きが増え、夫婦でペアローンを組んで一戸建てを建てるケースも増加しました。
そのため、オウンドメディアの方向性も、あまり専業主婦が徹底して家事をするというスタイルではなく、いかにして共働きで合理的に家事をまわしていくか、という観点から運営されるものになります。
こうして時代の流れを適切にとらえて、メーカーなりに生き残りを図ることが大切です。
いまや一億総活躍社会で共働きが増加し、親と同居などのスタイルは大幅に減りました。
子供の教育にも熱心な親御さんが増え、なおかつ共働きで忙しく、家事は外注や、外食などを想定したことも多いのです。
TRY家コラムでは、共働きの家事に関する意識調査のコーナーをコンテンツ化してさらにはシリーズ化し、積極的にコンテンツを展開しています。
こうしたことも、ユーザーを惹きつける証拠でしょう。
いつまでも住宅販売がうまく行っていた昔の話を思い出さず、時代に応じた顧客のライフスタイルの変化をしっかりと見極めることも、メーカーにとっては重要なのではないでしょうか。
また、大和ハウス工業は注文住宅を建ててもらわなければなりませんので、注文住宅のためには大きな予算がかかるので銀行などにもローンを通してもらわなければなりません。
そこで審査に通るノウハウ、ある程度の年収があればどの程度のローンが組め、つなぎ融資等も受けられるのかなどをコンテンツとして配信しています。
そうした注文住宅のみならず、住んでからの総合的な生活イメージ、ライフスタイルが実現するようなオウンドメディアを、TRY家コラムは実現しているのです。
その他にも、誠実な営業マンの見分け方、注文住宅を建てると多くの人が犬を飼うので、ペットのQOLについて考えるヒント、緑を取り入れた家を建てるということなど、家を今後建てる人にとってかなり役立つコンテンツが豊富です。
もちろん、昔風の二世帯住宅のニーズもまだまだありますので、お客様がもっとも好む二世帯住宅を建てる方法などもコンテンツとして配信していきます。
このTRY 家コラムは、ほんとうに家を建てる前の人にささるコンテンツです。
よく読むと、大和ハウス工業がいかに顧客のニーズをつかんで、注文住宅を建てる前の心理状態を把握していることがわかります。
非常によくできたコンテンツですので、ぜひ参考にしてみてください。
おそらく、徹底した顧客の要望リサーチや、これまで培った顧客からの質問されたことへの回答、そして家造りのノウハウやテクノロジー、間取りの作り方などをよく網羅しています。
特に、昨今は注文住宅を建てる前、そしてメーカーを比較検討しているタイミングで、インターネットを使って情報収集する人が増えました。
そのため、持っているノウハウは惜しみなく公開し、顧客をひきつけたいという考えです。
やはり、競合に勝つには、惜しみなくノウハウを公開していくことが大切です。
ライバル社もコンテンツマーケティングは実施しているでしょうから、より自分たちの想定顧客に近いコンテンツを配信していく必要があります。
メーカーのオウンドメディアに必要なことはペルソナ!
大和ハウスの例でみたように、メーカーのオウンドメディアで大切なのはペルソナです。
ペルソナを設定し、ターゲットを浮き彫りにしましょう。オウンドメディアをひと目見ただけで、誰を対象としているかがわかるようになります。
それは、コンテンツのタイトル一覧などにも関係しています。
そのため、タイトル付けは非常に重要で、なおかつ一覧で見たときに、「これはまさに私のためのサイト!」と思ってもらわなければなりません。
そうすることで、より「刺さる」コンテンツが可能となるのです。
メーカーのオウンドメディアで、今回見た3社は、いずれもタイトル一覧をみただけで誰向けががしっかりわかるようになっています。
ペルソナ分析がしっかり行われており、自分たちの想定顧客が誰であるかがちゃんと自覚されているのです。
ここは重要なポイントです。